君と僕の放課後
「あ‥そろそろ帰らないと」
咲良は時計を見ながら呟いた。
「もう暗くなるもんな。送ろうか?」
「大丈夫だよ。大里くん、またね」
「ん、またな」
僕が咲良に言うと、教室を出ようとしていた咲良が不意に振り返り言った。
「私にとってあなたは希望」
「え?」
咲良は僕を見つめ笑った。
「なんでもない!また放課後に逢えるといいね」
僕は小さな疑問を持ちながら咲良を見送った。
咲良、君の印象は本当に意外だった。
6限目までは一言も喋らず、本ばかりを読んでいる優等生で地味な女子生徒。
だけど放課後の君は、綺麗で笑顔が誰よりも可愛い女の子だった。
僕はそんな君に惹かれていた。