『いつか。愛。』

『意識』

持ち場に戻り、スカウトの続きをする。

それなりにやってるフリをする。


たまに専務が見に来るからね。


11時になり新店に戻る。


軽くミーティングをし30分ほどで解散。


家につきすぐにシャワーを浴びる。


髪を乾かしテレビをつける。
エアコンをつけると
カサカサと後ろで音がした。


そこには、さっき買ったプレゼント。



悩む。


きっと店がオープンすれば、休みはしばらくない。
せっかく買ったんだし渡せるうちに渡さなきゃ。


私服を選ぶのがめんどくさくて、
今日はスーツで行くことにした。


家をでて、さとみちゃんの店へ向かう。


店の前に着くとスタッフに話しかける。


「さとみちゃん指名で。」


目を丸くするスタッフ。
無理もない。
1年近く毎日のように駅で顔を合わせていたが、
挨拶すらしたことがなかった人間が、
突然店にしかも指名で来ているのだから。


「引き抜きじゃないから安心してよ。この前も来たよ。帽子かぶってたからわからなかった?」


「あっはい。どうぞ中へ」


小さい店の1番奥の席へ
案内される。


待機席にいた、さとみちゃんと目が合う。

僕は目をそらす。


席へつくと、すぐにさとみちゃんがきた。


「上ちゃんか!?スーツだからわからなかった!今スタッフに色々聞かれたんだけど、わかんないわかんないって感じで。」


しゃべり続ける彼女。


「どうしたの今日は?なんかあったの?明日も仕事でしょ?」



僕は返事をしなかった。
テンションの高い彼女にびっくりして、
ただ彼女を見つめてた。


何故か一瞬沈黙。


彼女の黙って僕を見つめる。
先に口に開いたのは彼女だった。


「上ちゃんってかわいい顔してるんだね。この前帽子かぶってたからわからなかった!」



「はいはい。そんなことよりこれ。」


かわいいとか照れるんですけど。
かといって照れてるのを
見せる訳にはいかないので無愛想に振る舞う。

そのままさっき買ったプレゼントを押し付けた。
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