『いつか。愛。』
家に着き風呂に入る。

髪を乾かし、ねっころがっていたらいつの間にか寝てしまっていた。

ふと気付くと、
テレビも電気もつけたまんまだった。

電気を消しテレビも消す。

半分意識がないまま、携帯を見つめる。



さとみちゃん、後2時間で終わりだ。


飛びそうな意識がだんだんはっきりしてくる。


後2時間。


あと2時間。


行っちまうか。


さっさと準備して家を出る。


夜中とはいえ夏は暑い。

微妙に汗をかきながら店に着く。


スタッフに案内され店へ入る。
さとみちゃんは他の席に着いていたが、目が合った。

目をまんまるくする彼女。

席に腰掛け、スタッフと話す。
ここ最近さとみちゃんの出勤に合わせて、店に来ていた僕は常連扱い。

5分ほど話し、さとみちゃんが来た。


「何してんの!?明日仕事でしょ?」

「来ちゃった。」

「来ちゃったじゃないよ!もう。」


席につき酒をつくる彼女。
寝起きだからか疲れているのか酒が回るのが早い。

5、6杯のんだところで僕は勢いで、

「店終わった後会えない?」

と誘ってみた。

「1時間位で大丈夫かな?お母さんに子供預けてるからさ。」


微妙な雰囲気だった。
僕は一瞬考え、

「んじゃ今度にしとこっ。」


彼女も一瞬考えたようだった。



「やだ。」



何?やだって。

どーゆー意味だよ。


「会おうよ。」

彼女がまた口を開く。


鼓動が早くなっていくのがわかった。

「じゃ、じゃあ今日は1時間で帰るから終わったら連絡して!」


「わかった!」


ラストまでいてもよかったが
これ以上酔ったら
暴走してしまう気がしたので、外にでることにした。

酔いを冷まさなきゃ。

まだ30分以上1度帰ることにした。


何をしても落ち着かない。
30分がこんなに長いとは思わなかった。


鼓動もおさまらない。


彼女の店が閉店の時間になる。

10分が過ぎる。


連絡がこない。

さらに10分が過ぎる。

電話をする。

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