『いつか。愛。』
そして次の日。

さとみは8時半位に駅に着くとのこと。

8時まで駅にいてそれから一次帰宅。

8時半ちょっと前にさとみから電話がきた。家までの道のりを教える。


『ピンポーン』

「さとみだよ〜開けて!」

『ガチャ』


「外蒸しあっつ〜い。上ちゃんち涼しいね!」


部屋に入り適当に座る。


さとみは立ったまま、
パタパタと手で自分を扇いでる。


「座れば?」

と僕が言うと、さとみは不自然なまでに遠くに座った。

「遠くね?」

そこはツッコム。

さとみは、
「緊張すんじゃん!」

とハニカミ笑顔。

僕は立ち上がり彼女の目の前に立ち、手を差し出た。

「こっちおいで。」

「うん。」

彼女は僕の手を握り立ち上がる。

そのままさとみを抱きしめた。


この前とは明らかに違うことがあって驚いた。

いつも会ってる時は160㌢弱と思ってた身長が150㌢位しかないように思えた。

「背ちっちゃくね?」

驚きのあまり口にだす。

「ばれたか。ヒールでごまかしてんの。」


腕の中で、
上を向いて微笑むさとみ。
子供が2人いて、水商売やって外じゃ気はってても
本当は昼間働いてる普通の21歳の女の子と何も変わらなくて...。

「いっぱい大変なことがあるけど、少しずつ解決して行こうね。」

僕はさとみの頭を撫でながら言った。


小さな声でさとみは、
返事をして、胸の中に顔をうずめた。


そのまま僕らは手をつないぎ床に座った。

「仕事いく?」

と僕が聞くと、

さとみは小さく首を振り、
「そんなことより、上ちゃんの下の名前、何?」

名刺をさとみに渡し、

「前に名刺あげたろ。晴希だよ。」


「げっ。お兄ちゃんと同じ名前。字は違うけど。」

「ふ〜ん。別にいいじゃん?」


不意にさとみは立ち上がった。

「ん〜。じゃ晴希って呼ぶのは抵抗あるからなんて呼ぶか考えとく!」


部屋を一周するさとみ。

「なにこれ!?なんでこんないっぱいあんの?」
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