『いつか。愛。』
なんなんだよ。

ほっといてくれ。

携帯を見ると電話の相手はさとみだった。
出るか一瞬悩んだが、とりあえずでることにした。


「もしもし。」

「ハル怒ってる?」

「別に。」

「怒ってるんだ。どおでもいいんだけど鍵開けてよ!」

それまでおとなしく話してたさとみの声が大きくなる。

「はっ?」

「はやく!着いたよ!」

急いでドアを開ける。

「もう〜遅いよ!外暑いんだから!」

玄関に入り、荷物を置く。
「びっくりした?」

さとみは、してやったりって顔。

ここはあえて無視してやる。
僕は何も言わずに、部屋に入りソファーに腰掛け足をくむ。

後から入ってくるさとみ。

「無視か?」

僕の前にはだかりさとみが言った。
僕は目をあわさずに

「来れないって言うから遊ぶ約束しちゃったんだけど。もう迎えに来るから断れないよ。」


すぐさま、さとみは口を開く。

「嘘でしょ?そんな時間なかったじゃん?」


「いや、ほんとに。電話出るの遅かったじゃん?キャッチだったんだよね。」

僕はちらっとさとみを見た。

笑顔が消えていくのがわかった。


「ほんとに?嘘でしょ?」

まだ突っ込んでくる。
僕は下を向いたまま、

「本当だって。」

と言い時計を見る。

「もう着くから行かなきゃ。さとみはどうするの?」

立ち上がり、僕は自分の荷物をもつ。

「じゃあ仕事行くよ。まだ休むって行ってないし。」

テンション下がりまくりの彼女。

僕の気持ちわかりましたか?
目には目を。
歯には歯を。

成功。


「もう出るよ。」

僕はそう言って、
彼女を先に部屋からだす。
下を向いたまま玄関に向かう彼女。

そろそろいいか。


「嘘だよ!行く訳ないでしょ!」

僕はそう言って後ろからさとみに抱き着いた。


「ハルのバカー!」

僕の腕を掴みさとみはそう言った。

「バカはどっちだ。」

さとみの手をとり、
2人とも部屋にもどりソファーに腰かける。
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