君と過ごす時間
俺は一瞬体をこわばらせた。

今の声を俺が聞き間違えるわけがない。

神様・・・そんなに俺が憎い?

俺はゆっくりと振り返った。

「美久・・・」

そこにいたのはすっげぇかわいくなった美久と・・・
知らない男。

「しっ・・・進也!!進也ぁ・・・」

美久が自分から俺に初めてさわった瞬間だった。

「・・・ッ・・・」

俺のために泣いてくれてんのは分かってる・・・

けど・・・俺は・・・俺はもう汚れてしまった。

抱きしめ返そうとしてもできない・・・

「進也・・・?」

「・・・何?」

俺はできるだけ冷たく接した。

ごめん・・・ごめんな美久。

美久が何かを言おうとした瞬間知らない女が俺に話し掛けてきた。


「進也くーーん!待ったぁー?」

そういえば今日も呼ばれて外にでたんだった。

俺はもう美久のそばにいてやれる資格なんてねぇから・・・

もうどうでもいい・・・

その女は俺の腕を自分の腕にからめると歩き出す。

俺もそれに従う。

この場を離れる為に。

美久からはなれるために。
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