狼くんと子猫ちゃん
俺が本気?なわけない。
あいつが、陣内がムカつくから。
それに――
「悲痛な顔とかさいこーだろ?」
好きな奴奪われて、何もできないとか。
「はっ、空黒いから!…まー、俺はお前の味方だから。なんでも言えよ?」
そう言う椎の顔は、いつもと違い真面目な顔つきで一瞬戸惑う。
(こいつは…)
何をしても全て見透かしてしまいそうだ。
「…どーも。」
「んじゃ、楽しもーぜ!」
さっきの顔と打って変わって、椎は満面の笑みを俺に向けた。