狼くんと子猫ちゃん




「泣くな。俺だって、こんなこと好きでやるわけじゃない。」




「じゃあ、なんで。」





親指の腹で目元を拭い取られて、そこに触れる健吾の唇。



優しくするなんて狡い…。







「小春。」



「ん。」



「もうあいつには近づくな。そのためにしつけてんだ。」




「あいつ?」



「さっきの男だよ。」






よく分かんないけど…私のためにやってるなら。



コクンッと力無く頷いた。




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