狼くんと子猫ちゃん
…あ、そうだ、健吾…健吾忘れてた
許可貰わないで来ちゃったんだっけ…怒ってないといいけど――
「…猫?」
「にー…健吾に謝らないと…」
いんや、やっぱり怒る。あの健吾だもん。
またお仕置きされちゃう。
ちゅーは好きなのにお仕置きは嫌い。健吾が怖い。
四つん這いになって囲まれた空間から抜け出した。
そのまま扉に手を掛ける。
「猫ってさ、」
「…猫?」
「あ、いや…お前ってさ、陣内に囚われすぎじゃねー?」
「囚われ…?」
「やっぱなんでもねーよ。さっさと帰れば?」