狼くんと子猫ちゃん
*甘い声は簡単に騙されるんです。*
――――――――…
「はぁ、はぁっ…」
この俺が急いで来たっていうのに、猫がいるはずの中庭には誰もいなかった。
あいつらどこ行った…?
まだ陣内がここに来てから数分しか経ってないはず。
だからあいつは嫌いなんだ!
いい面して、実は絶対腹黒いんだから!
今回だって猫が振り回されてるだけじゃねーか。
「空ー!!突然授業抜け出したから追っかけて来ちゃった♪」
「なんだ、美加か。萩原しらねぇ?」
「萩原?あ、小春ちゃんのことか。その子なら陣内くんと早退したけど。」