TIME!


―――――


ようやく放課後になり、穂波と『あたし』が学校から出てきた。


きっと『あたし』に姿を見られたら、混乱してややこしいことになると思う。

だから、バレないように跡をつけなくちゃ!



チョコを必死に選ぶ自分も、未来のことを想像してウキウキだった自分も、今こうして見たら虚しいだけだった。

そしてもう1度、武宏たちのデートを目撃するのがなにより憂鬱で仕方ない。

……変えられない過去なんだからどうしようもないんだけど。


じっと見逃さないように『過去のあたし』を見張っていたら、なんだか頻繁に辺りを見回して警戒しているようだった。

……あ!そういえば、昨日はやたらと視線を感じて怖くなってた気がする。


そうか!今のあたしに跡をつけられて警戒してたって訳だ。

ナルホド!


どうでもいいことを考えていたら『過去のあたし』はもう先に進んでいて見失いそうになった。


もう外は暗くて、昨日見た景色が広がっていた。

あ……確かこのあとは……


そう。あたしにとっては最大の嫌な思い出、『過去のあたし』は武宏たちのデートを発見してしまっていた。


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