しゃぼん玉。
私が目を覚ました時、周りは真っ暗だった。

「ありゃりゃ…。
深い方に行っちゃって。」

え゙っ…。
この声……!

「……っ、こ…に、…こっちに来ないでください!!」

私の精一杯の声だった。
口の中は鉄の味がして、尾ひれは先っぽしか動かない。
それも痙攣しているかのようなぴくぴくとした動き。
周りは暗くて、起き上がる力もなくて、私の体がどんな状態かは分からないけど、見られたくない感じになっているというのは分かる。

「何で?」

私は口の中に溜まった血を水の中に吐き出した。

「けほっ…、はっ、…はぁ。
…っんなの、そんなの見られたくないからですっ!」

「俺が見たいって言っても?」

「私はイヤなんです。」

喉が痛い。
お腹も気持ち悪い。

これ以上、私に話させないで。

「俺は逢いに来たのに。」

「私は逢いたくないの!
逢いたいとも思ってない!!
…っ、けほっ。」

お願い…。
もう帰ってよ。

それから物音一つなかった。

だから帰ったのかなって思って、私は少し体を休めることにした。

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