しゃぼん玉。
……あった。

「……私の好み。」

胸を覆うだけしか布がないタイプのもので、私の好みだった。

「お前の好みだろ?」

「……ありがとぉございます。
あの、私〝お前〟じゃなくって〝ミル〟という名前があるんです!」

そう言うと、その人は私の頭をぽんっと撫でながら、

「りょーかい。
俺は〝マオ〟。」

と言ってにっこり笑った。

「……マオ?」

「ん?」

私が呼ぶとすぐに返事をしてくれた。

「何でもないっ。
呼びたかっただけ」

初めてマオの前で笑った。

「ケガ…、治してくれたのマオなの?
ありがとぉ。」

私がお礼を言うと、マオは返事の代わりに、また頭をぽんっと撫でてくれた。

「話し方が優しくなったな。
そっちのが可愛いと思うぞ。」

マオは近くにあったイスをベッドの横に置き、私の顔色を見ながら話してくれる。

「母様からの言い付けだったから…。
知らない人には、冷たく接するのよ…って。」

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