しゃぼん玉。

ご主人と〝私〟。

「もう話さなくていい。」

マオは、私を抱き締めてくれた。
だけど私は首を横に振った。

「私、マオに聞いてほしい。
でも、マオが嫌なら無理に聞かなくていいよ。
良い話じゃないから。」

マオは即答だった。
私をもっと強く抱き締めて、優しい声で言ってくれた。

「ミルが話せるなら、俺は聞く。
けど、辛いならやめとけ。」

私を受け入れてくれてる。
そう、感じた。

「私は大丈夫だよ。
マオに聞いてほしい。
……。」

〝だからここにいて。〟

言いかけたけど、言えなかった。
私はマオに依存する。
そんな気がしたから。
マオを私に縛り付けちゃダメだと、頭が心に訴える。

だけどマオは、私が言いかけた言葉を知っているかのように、

「俺はずっとここにいる。」

と言ってくれた。

〝ずっと〟

その言葉に、私がどれだけ救われたか、きっとマオは知らない。

泣かずに最後まで話しきる自信なんて、少しもなかった。
マオがいてくれる。
それだけでなぜか大丈夫な気がしたんだ。

私の傷だらけの体を見ても何も言わず、いつの間にか治してくれている。

マオが何者かなんて、全然気にしてないと言えば嘘だけど、この時の私にはどうでもいいことだった。
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