しゃぼん玉。
「私がご主人に連れ去られた時の話、さっきしたでしょう?
私、母様ともう会えないんだって認めたくなくて、無我夢中で泳いでたの。
気が付いたら岩辺があるとこに出てて、泳ぎ疲れたから少し休もうと思って、岩に腰かけてた。
太陽が海に溶けていく…。
その様子が凄く綺麗で、ずっと眺めてたくって…。
だけど突然目がチカチカして、落ち着くまで瞬きを繰り返した。
その原因を作ったのが、ご主人。
隠し撮り……って言うのかな。
びっくりしたって言うよりも、知らない人…それも人間が近くにいて、写真を撮られた。
私は感情が乱れていくのを感じて、そんな私を見られたくなかったから、海へ帰ろうとしたの。
〝今まで見たことない、凄く綺麗な絵だった〟
引き止めるわけではなく、写真を撮った言い訳をするわけでもなく、ご主人は感想を言った。
〝絵になれば、母様に見てもらえる?〟
ご主人は頷いた。
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