アメが降る
飴の力は、
彼女は寝る場所が僕の家から病院に変わっても
何事もなかったかのように過ごした。
朝、僕が仕事に行くまえに電話をし
僕が来たらいつものように
手に飴を握らせる。
屋上に出て一緒にくだらない話をする。
僕の家の近くに住み着いた猫の話、
新発売の飴の話。
僕らは笑い合って、
小突き合って、
そして静かに目を合わせる。
ふたりの距離を埋めるように
どちらからともなくキスをする。
夕暮れと夜が溶けあっていくのを見ながら
僕らは屋上を後にした。