アメが降る
べっこう飴
季節が巡っても彼女の病気は回復の一途を辿ってはくれなかった。
入院して1年が過ぎるころには
彼女の体重は目に見えるくらい激減していて
歩くことさえも困難になっていた。
僕が彼女に会いに行っても眠ってばっかりで
一言も話さないで帰る日もあった。
でも、どんなに辛くても飴を食べることは欠かさないと彼女の母親は言う。
「飴の力は偉大だ」
と言って食べるという。
それが良くなる呪文かのように唱えて。
治りますように
僕が願うのはそんなシンプルなものだけど
それだけでは足りない何かがある。
世界中の神様を集めて頼んでも足りない気がする。