アメが降る
「なんですか?」
「あ、あの…少し待ってもらえますか?」
「?…はい」
僕の息が整う間、
彼女は少しだけ考えるような顔をして僕を見ていた。
「あっ!もしかして、この前の講義でノート見せてもらった人ですよね!?
あの時はありがとうございました!」
「あっ、はい。そうです」
「本当助かりました!テスト前なのに居眠りしちゃってて」
「あ、いえ」
彼女は以前の講義中、
隣に座っていた初対面の僕にノートを見せてと言ってきたのだった。
「あ、勝手に喋ってました。ごめんなさい って、話って何ですか?」
「えっと…」
「?」
「…えっと」
「?」
僕らは綺麗に刈り揃えられた芝生の上で
「えっと…」
-「?」
という会話を何度か繰り返した。