狼と赤ずきん
「…ところで赤ずきん。君はどうしてこの森に一人で?」

「あ、お祖母さんが病気なの。この道を真っ直ぐ行ったところに一人で住んでるから、お見舞いのブドウ酒と上等なお菓子を届けに行くようお母さんに頼まれて…今はその家に行く途中よ」

「へぇー。赤ずきんは偉いんだね。お祖母さんの為に森のなかへ一人きりで…」

「そ…そう?別に偉いわけじゃないと思うけど!」

狼の褒め言葉に少し照れてしまい、照れ隠しのせいで少しぶっきらぼうに答えた。

「そんな事ないさ。赤ずきんは、とっても利口でいい子だよ?」

流石にここまで言われると言い返せない。

この人の褒め殺しっぷりには何を言っても敵わない気がしたからだ。

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