狼と赤ずきん
「…よし。偉くて利口でいい子な赤ずきんに俺からのご褒美」

「ご褒美?」

「…といっても情報を教えるだけだけどな」

いきなり聞かされた誘惑の言葉に、赤ずきんは一体何だろうと玩具を貰う子供みたいに目を輝かせた。

狼は人差し指で右側を指す。

「ここを右に行く。すると、それは綺麗なお花畑があるんだ」

「本当!?」

嬉しい情報に赤ずきんは声を張り上げて狼に問う。

「ああ。飲み物や菓子なんてすぐ無くなってしまうものより、形が残る贈り物なんていいと思うだろ?」

狼にそう言われて自分も共感した。
頭の中には花を嬉しそうに見るお祖母さんの姿。

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