世界に二人
「え…てことはあなたは私と
同じ夢を見たの?」

「そういうことに…なるな」

にわかには信じられない話だ。

「そしてこの町の人は誰もいない…」

「ああ、俺もこの目でちゃんと確かめた
…信じられないけどな」

「…私も、信じられない…」

「まあどうでもいいや」

寛太にとってはどうでもいい話だ。
何せ他人とは関わりたくないと日ごろから
思っていたからだ。この世界はなんと寛太に
とって都合のいい世界なのだろうか。

「よくないですよ!」

美紀が声を張り上げて言う。

「みんな、みんな!いなくなったんですよ!?
私達以外いないんですよ!?」

「は、俺にとってはどうでもいいことなんだよ。
……他人と関わってもろくでもないこと
ばっかりが起こる」

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