white*story
あたしの声とかぶった
声の持ち主は、
隣のクラスにいる、
あたしたちの
もう一人の幼馴染で、
日向の双子の姉、
春日井日和。
ひよりの声を聞き、
さくちゃんは、
目を輝かせ、
「ひーちゃぁぁぁん、
久しぶりぃぃ!!」と、
ひよりに抱きつく。
「ったく、さぁは、
甘えん坊なんだから。
…ん?ねぇ…さぁ?
あんた、熱出てるん
じゃないの?
体熱いじゃない。かえ!
どーゆーこと??」
ひよりが、あたしを
きつく睨む。

「さくちゃんが、
どうしてもって…」
あたしが答えると、
ひよりは、
「かえ、そこを
思いとどまらすのが、
あんたの役目
なんじゃないの??」
と、怒りの表情を
あらわにする。

「やめて、ひーちゃん。
かえちゃんは、
とめてくれたよ?
あたしがわがままを
言ったの。」
さくちゃんがひよりに
懇願するように言うと、
ひよりは、
「わかった、わかった。
かえ…ゴメン。
でも、さぁは、
早退して病院に
行った方がいいね。
かえ、一緒に行く…
でしょ?
先生に、ちゃんと
言っておくから。
さぁ、無理したら
ダメだよ?
今度、熱あるのに
学校へきたら、
絶交するからね。
かえも!
さぁのわがまま
聞いたら絶交!」

それから、あたしたちは
学校を出て、
タクシーで、
さくちゃんの
かかりつけの
子ども病院にむかった。
いつものように
受付をすますと、
看護師さんが出てきて、
処置室のベッドに、
さくちゃんを
寝かせてくれた。

「おはよう、桜ちゃん、
楓ちゃん。
もう少ししたら、
先生来られるから、
ここで待っててね。」
と、カーテンをひき、
処置室から看護師さんが
出ていくと、

「かえちゃん…、
あたしのために
ごめんね?」
さくちゃんが、
淋しそうにつぶやく。

「なーに、言ってんの。
気にしないでいいから。
先生がくるまで、
すこし眠って?
あたし、
側にいるから。」
あたしが、
さくちゃんの
額をなでると、
さくちゃんは、
うん、とうなづき、
目を閉じた。
15分くらいして、
さくちゃんの
主治医が来た。


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