【完】あなたの指先で愛して
そんな清香の優しいところ。
仕事でキリキリしていた俺は、癒された。
「俺と、付き合おう」
「……はい」
そう言ったら、清香は目を細めて、優しく笑った。
ホットチョコレートの甘い香りと、パソコンの機械的な音。
初めてキスをして、ホットチョコレート以外の清香の温もりを感じた。
清香の下唇は、ふにっとして柔らかくて。
俺は指先でその感触を確かめながら、何度もキスをした。
「なんだか不思議ですね」
「何が?」
「…だって、つい昨日まで、私といてもパソコンのタイプしか叩かなかった雅也さんの指先が、今は私の唇に触れているんだもん」
そう言って照れながら笑う清香が愛しくて。
「もっといっぱい愛してやるよ」
俺は清香の耳元で優しく囁いて、抱きしめたんだ。