伝えておけばよかった(短編)
1
玄関の扉をあけると、うさぎみたいに真っ赤な目をした、芽生(メイ)がいた。
涙のあとはないけど、大泣きしたあとであることは間違いない。
片手に、開封済みのポテトをもったまま、呆然とするおれに、芽生はいった。
「いっしょにきて、遼(リョウ)」
「は?」
「いっしょにきて!」
二度目は語尾を強くいって、おれに手を伸ばす。
指がおれの、袖をぎゅうっとにぎりしめた。
ぐいっとひっぱって、それから、今度はおれの手をとった。
小さな手。
そこから、ぬくもりが伝わってくる。
涙のあとはないけど、大泣きしたあとであることは間違いない。
片手に、開封済みのポテトをもったまま、呆然とするおれに、芽生はいった。
「いっしょにきて、遼(リョウ)」
「は?」
「いっしょにきて!」
二度目は語尾を強くいって、おれに手を伸ばす。
指がおれの、袖をぎゅうっとにぎりしめた。
ぐいっとひっぱって、それから、今度はおれの手をとった。
小さな手。
そこから、ぬくもりが伝わってくる。