伝えておけばよかった(短編)
「今日、どうした、変だぞ、芽生」



 おれはずっと、思っていたことを口に出した。

 芽生は、びくっと肩を震わせた。



「・・・私、変?」

「めっちゃ、変」

「・・・そこで、肯定しないでよ」

「だってなぁ・・・くしゅん!」



 ぶるっとして、くしゃみがでた。

 上着も着ないできたから、動くのをやめると寒さを急激に感じる。

 

「寒い? 上着、貸そうか?」

 

 やっと顔をあげて、心配そうな目でおれをみる。


「へーき」



 強がりだけど、そういう。

 だって、女の子から上着借りるわけにはいかないだろう?







 
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