伝えておけばよかった(短編)
 おれは自転車を押しながら、追いかける。

 乗れば早いのに、頭に浮かばなかった、おれはかなり、まぬけだ。



「いいかげん、止まれ」


 いいながら手を伸ばし、芽生の二の腕をつかんだ。

 がちゃん! 騒々しい音を立てて、自転車がおれの手を離れて、たおれた。



「人気のない道、どんどん進んでどうする気だよ。変態でもでてきたらどうする気だよ!」

「ここ・・・」



 声を荒げるおれを、まったく無視して、芽生は横をむいた。

 
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