伝えておけばよかった(短編)
4
息が切れる。
坂道の、二人乗りはきつい。
けど、男としての自尊心と、根性で上りきる。
「到着!」
元気よく、自転車の後ろから、芽生が飛び降りた。
「ね、遼。夜景見えるよ、きれい。きて」
手招きされても、
「・・・はぁ・・・きつ。・・・はぁ」
情けないけど、おれは自転車を止めて、その場に座り込んだ。
芽生もおれの横に座り込んだ。
「スカートよごれる、ぞ」
「平気」
冷たい夜風が二人を包む。