伝えておけばよかった(短編)
芽生が身体を寄せてきて、おれにぎゅっとしがみついた。
かすかに震えている。
ないているのかな、ふいに思った。
「私、ほんとに、ずっと・・・ずっと変わらずにいられると思ってた。
・・・だから、この気持ちに対する答えを急いで求める必要なんてないと思ってた」
「気持ち?」
「私、遼が好きだよ」
さらりといわれて、一瞬、思考が停止した。
おれが、好き?
「いつからなんて、意識したことないけど、好きだった。
中学になって、クラスが分かれてからは、はっきりと好きなんだなってわかった。
身長とかも、私より小さかったくせに、いつの間にか、私を追い抜かしているんだもん・・・、急にかっこよくなって・・・るし」
「・・・背は伸びたな、そういえば、けど、急に伸びると関節とかいたくて、けっこうきついんだぜ、知ってた」
「知らない」
「・・・おれ、あんまり変わったつもりないんだけど。いうけど、芽生なんて学校であっても挨拶くらいで、目があってもスルーされたこともあったよな」
「・・・それは」
芽生が顔をあげた。
合う視線。