伝えておけばよかった(短編)
「・・・もしかして、さっきの、初キスとか?」



 芽生が、聞く。

 おもいっきり、うなずくおれ。



「あったりまえだ!」

「はずれ!」



 芽生がくすくすと笑い出した。

 やっぱり、芽生は笑顔がかわいい。

 泣いている顔は似合わない。



「はずれってなんだよ」

「実はね、幼稚園の、年少のときの、お昼寝タイム・・・ふらふら~っとね、いただいちゃってました、初キス」

「なんだそりゃ! 覚えてないのは、無効だ! それにどっちみち、おまえだろ!」

「いや?」



 じっとみつめる瞳。


 やっぱり、芽生のほうが変わった気がする。

 女の子のほうが、どんどん、くるくると変わって、違う表情を見せる気がする。


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