伝えておけばよかった(短編)
小さな頃から知っている幼馴染の芽生ではなくて、ちがう女の子が目の前にいる気がする。
「いやって・・・それは」
「もう一度、いってもいい?」
芽生がいう。
「私、ずっと・・・ずっと、遼のことが好きでした」
「・・・」
「はあ。いっちゃったぁ」
「おれは」
「いいよ、いわなくて」
芽生が手のひらを上げて、制した。
「いいよ、答えなんていらないから。私・・・すぐにいなくなるから」
「・・・芽生」
そんなこというなよ。