伝えておけばよかった(短編)
「いらないよ、そんなの」



 芽生はいう。



 いらないっていうけど、お前はもってないのかよ。

 学校の廊下で携帯いじっているの、みたことあるぞ。



 別に携帯依存症とかじゃないけど、いつも出かけるときはもっているのが当たり前なので、なんだか変な気がする。

 けど、まぁ、いいか。

 なんか、今日の芽生は、ちょっと様子が変だし、いうことをきいてやるか。



「わかったよ」

 
 いいながら、玄関の靴箱の上置いたままの、家と、自転車の鍵を手にした。

 留守番の身としては、戸締りだけはきちんとしないと、あとで、仕事から帰った母さんにどんな目に合わされるかわからない。

 

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