伝えておけばよかった(短編)
ガチャン。
音をたてて、しっかりと玄関の鍵をかける。
これでよし。
以前、鍵を開け忘れて、しかもドアを開け放して出かけてしまったときは、それは悲惨な目にあった。
拳骨はくらう、小遣い二ヶ月ぬき、でも、一番、いやだったのは弾丸のような母さんの説教だった。
一度いえばわかるのに、くどくどとしつこいんだよなぁ。
トントン・・・。
小走りに階段を下りていく、芽生。
おとなしくついていくおれ。
自転車置き場で、鍵をはずしながら、改めて聞いてみる。
「で、どこにいくわけ?」
「いけるとこまで」
はい? その回答、よくわかりませんから。