伝えておけばよかった(短編)

「乗って」


 促されるまま、自転車にまたがる。

 おれ、芽生のいいなりだなとぼんやりと思っていたら・・・


「うわっ!」


 間抜けな声を出してしまった。

 身軽に芽生がおれの自転車の後ろに乗って、背中に腕を回したのだ。

 細い腕に、また、心臓がどきどきする。

 音が聞こえるんじゃないかってくらい。

 芽生とは、一緒に風呂にもはいったこともあるし、一緒にお昼ねしたこともある仲じゃないか。幼稚園時代だけど。



 なに、動揺している、おれ? ありえねぇって。
 

 
 


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