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卒業式。
あたしは始めから最後まで泣いていた。
ユリはずっと隣であたしの背中をさすってくれていた。
在校生が、卒業生を送り出す道を作り、拍手で送り出す。
あたしの前をどんどん卒業生が通っていく。
あたしは顔が上げれず、卒業生が通り過ぎる足元だけを見ていた。
あたしの前で誰かが止まる。
顔を上げると、リョウ先輩だった。
リョウ先輩は目にうっすら涙を浮かべて、あたしを見る。
「…千秋…またクレープ食べに行こうな…」
「リョウ…先…輩…」
「千秋−!!!好きだぁぁぁ!!」
リョウ先輩はあたしをガッシリ抱きしめて叫んだ。
「えぇぇぇぇぇ?!」
「千秋!!もう我慢できない!奏なんかやめて俺にしろっ!!」
リョウ先輩はあたしの手を取って、走り去ろうとした。
「コラァァァ!!!!!
リョウ!!!お前、何してんだよ!!
千秋を離せっ!!!」
「うっせ〜!!千秋は俺がもらう!!」
「千秋!!!お前もいつまでリョウに掴まれてんだよ?!こっちに来い!!!」
奏はあたしの左手をとる。
「行くよ!!千秋!!」
リョウ先輩はあたしの右手を掴んだまま。
在校生も卒業生も悲しみの涙が止まって、あたしたちを呆れて見ている。
恥ずかしい…
「あぁぁ!!もういい!!このまま行くぞ!!」
奏は諦めて言った。
リョウ先輩もニヤっと笑って言う。
「だな♪」
あたしたちは、そのまま手を繋いだまま体育館を出ようとした。
体育館を出る直前に奏がクルッと振り返って体育館中に響くくらいの声で叫んだ。。
「山瀬千秋に絶対手出すなよ?!こいつは俺の彼女だ!!
太一!!千秋の監視役に任命するっ!!」
「りょ〜か〜い!!」
太一は大声で返事をして、場内は大爆笑に包まれた。