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雷太はあたしの手を掴んだまま無言で歩いた。
「雷太!」
あたしが呼ぶとピタっと歩くのをやめた。
「千秋…さっきのヤツだろ?千秋口説いてんの」
「……」
「…今から俺ん家おいで」
そう言うとまたあたしの手を掴んで歩き出した。
−−−−−−−
雷太の部屋に入ってすぐにあたしは雷太の腕の中だった。
そのままベッドに倒された。
見上げると、今までに見たことのないような男の雷太の顔があった。
雷太はあたしの唇ではなく、首筋にまずキスをした。
「…った…」
首筋にチクっとする痛み…
雷太はそれを確認すると納得したようにあたしのブラウスのボタンを外しながら唇を重ねてきた。
「千秋…千秋…」
その日雷太は何度もあたしの名前を呼んでくれた。
−−−−−−−
あたしは、だるさからなかなか起き上がれず、ベッドでごろごろしていた。
雷太は飲み物を取りにキッチンに向かった。
その時。
−ブブブッブブブッ−
雷太の携帯がバイブした。
「電話かな…?」
あたしは携帯のディスプレイを見た。
「奈々」
心がチクっとした。
それは電話ではなく、Mailだった。
「奈々…誰だろ?中学にはそんな子いなかったし…」
あたしはダメだと思いながらも、受信Mailを開いた。
[朝会えて嬉しかったよ!明日も一緒に行こうね♪土曜日は大丈夫そう?またいろいろ決めようね!]
思考停止…
朝って…?
あたしとじゃなくてこの人と待ち合わせしてたの??
土曜日って??
この人と約束してるの??
あたしは受信フォルダーを見た。
一番上に「千秋」、次に「地元のツレ」、「ツレ」「家」「奈々」…
迷わず「奈々」のフォルダーを開く。
毎日、朝から夜中までMailがギッシリだった。
[早く奈々の事好きになって!]とか見たくない内容が多かった。
あたしは、雷太の携帯を閉じて元の場所に戻した。