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先輩はそんなあたしの腕を掴んで
「ここで話せばいいよ?」と。
あたしは先輩に腕を掴まれたまま電話に出た。
「…もしもし」
「あ。俺だけど…」
シンと音のない先輩の部屋に微かに雷太の声が響く。
「…うん」
「…日曜日だけど…」
「…うん」
「…千秋の好きな水族館行くか」
「え?」
「水族館行くかって言ってんの!!」
「……」
あたしは先輩の顔を見た。
先輩は無表情のまま掴んでたあたしの腕を離して、ソファーに寝転んだ。
あたしは…
先輩の横まで行ってペタンと床に座った。
そして、先輩の目を見ながら、
「…雷太ゴメン。あたし…やっぱりもう無理」
そうはっきり言って電話を切った。
また涙が溢れてきて、
うわぁぁぁと子供みたいに泣いた。
先輩はそんなあたしの頭をガシガシして
「よく出来ました」
と、あたしを抱きしめた。
なんであたし…
雷太にあんな事を…って思ったけど、
そんなのはどうでもよくって。
ただ、先輩に抱きしめられてる事が嬉しかった。
「明日またメガネだな」
「明日は土曜日だからいいです」
「だな♪」
「……」
「明日、また俺んトコおいで?」
あたしはコクンと頷いた。
「よく出来ました」
先輩はあたしの顔を両手で包んで、
触れるだけのキスをした。
「ヤッベ〜わ。俺。なんか泣きそうなんだけど…」
「…泣き虫」
「お前に言われたくないけど?」
あたしは泣きながら笑った。
「千秋。俺、千秋大事にするから。だから千秋も俺だけを見るように!
まだ俺全部を好きじゃなくていいから。少しずつでいいから、俺だけ見てろ」
「…うん。」
「俺、独占欲強いけど?」
「…うん。」
「でも、キスマークは見えるトコにはしないから。」
「…うん。」
「この辺にはキスマーク付けるけど…」
先輩はあたしの胸を突いた。
「ば、バカぁぁぁぁ!!!」
あたしは先輩のほっぺを引っ張った。