恋愛LEVEL


奏はショートを守っていた。


今まで見たことのない真剣な表情…


難しいバウンドの早い打球もなんなくさばく。


「カッコイイ…」


あたしは無意識に発していた。



「千秋ちゃん♪可愛い♪今、カッコイイって言ってたよ?」


サキさんはクスクス笑う。



あたしは「エヘヘ…」と。



−−−−−−−
試合は奏のチームが勝った。

みんなで打ち上げに行こう!って盛り上がっていた時。



みんなの視線が一点に集中した。


その直後、

奏を見る人もいれば、

あたしを見る人もいた。



「?????」



あたしも奏も、最初に視線が集まった先を見た。



「あ…」



そこには、あの写真の人がいた。

実物は写真よりも綺麗だった。
髪を下ろしているからか大人っぽい。
背もスラっと高くて、スタイルがいい…
大きいピアスが目に入る。



奏の顔は瞬時に強張った。



あたしは…その奏の顔を見つめた。






その人は、



奏に笑顔を向けた。




「久しぶり…」





みんなはあたしに気遣ってか、すぐにその人にあたしを紹介した。




「あ…あ!この子、奏の彼女♪」




「奏の彼女?」



その人はあたしを見つめて、

「はじめまして」


とにこやかに言った。




すると奏が何も変わらない様子で言った。


「あ…千春!久しぶり!こいつ同じ学校の後輩で。今半同棲してんの」



「同棲してるんだ?すごいね!こんな可愛い彼女…」



…千春さんはまたあたしに微笑む。




ちょっと待って…


何?

その余裕な表情…


あたしは今いっぱいいっぱいだよ?


やだ…


帰りたいよ…



泣きそうだよ…



するとサキさんが、



「さ!奏、千秋ちゃん連れて帰れ×2♪せっかくの休日潰してごめんね〜」


と、あたしの背中を押して奏の元に連れて行ってくれた。
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