恋愛LEVEL


正座していた足を崩そうと足を触った時、
ラグとソファーの隙間に指が当たる。


何か物に当たった感触。



なんだろ…と思って、手に取った。




…ピアス…?



急に鼓動が早くなる。



これ…


この間、千春さんがしてたピアス…だ。



なんでこんなトコに…?


なんで…?


家に上げてないって言ったよね?




奏はあたしの異変に気付いて、


「どした?」


と、聞いてくる。



あたしは、それをにぎりしめて、奏の目の前に突き出した。



手が、


身体全体が、



震える。




「これ…」





奏はそれに目をやってから、



あたしを見た。





あたしの視界は涙でふさがった。





「…ごめん。」





「…何がごめ…んなの?千春さんてやっちゃってごめんなの?」




「違う!千春とは…「千春千春言わないでよ!お兄さんの奥さんなんでしょ?!」



「千秋!違う!ちは…お義姉さんとはやってないから!!信じてくれ!!」



ガシャ−−ンッ



あたしはローテーブルの上にあったコーヒーが入ったマグカップをはらい飛ばした。



「千秋…」




奏はあたしに近づいて、抱きしめようとする。




「触らないでよ!」



あたしは奏を突き飛ばす。



「何が全部話す、信じろ?!おかしいよ!!」



あたしは立ち上がって、バッグを持ってそのまま家を出た。



「千秋っ!!待て!!ごめん!でもホントに千春を抱いてないから!!」


奏は、出て行くあたしにむかって叫んでた。





あたしはマンションの前で、携帯を出して電話をかける。




「…もしもし?あたし…今からそっち行くから…」



「千秋?どした?今どこ?俺がそっち行くから…待ってな」




「…早く来て!!!すぐに来て!!雷太!!!」



あたしは泣き崩れた。
< 70 / 104 >

この作品をシェア

pagetop