恋愛LEVEL
電話を切って、深呼吸した。
何やってんだろ…あたし。
携帯をギュッと握る。
「千秋」
今一番聞きたくない声が背中からした。
あたしは振り向かないで言った。
「今日は追いかけてくるんだ?
この間は千春さんと会わなくちゃいけないから、追いかけてこなかったんだね?」
「……」
「あたし…この間、奏が追いかけてくれるの待ってたんだよ?
駅までの道を何回も何回も振り返ったんだよ?」
「…聞いてくれる?千秋。俺、ホントにお義姉さんを抱いてない。お義姉さん、今兄貴の子…二人目を妊娠してるんだって。
それで、ファミレスで話した後に気分悪くなってさ…
家のトイレ貸して、水飲ませる為に家に入れた…」
「…なんで嘘ついた?やましい気持ちあるから嘘ついたんでしょ?違う?」
「やましい気持ちはないよ。ただ…千秋を不安にさせたくなかったから…
信じて…千秋」
あたしは、肩を震わせて泣いた。
「千秋…」
奏の指があたしの肩に触れる。
「今から雷太が迎えにくるの。」
「…もう俺の所に戻らないつもり?」
「……」
「…わかった」
そう言うと奏はあたしから離れて行った。
あたしは…
振り返りたかったけど、
身体に力を入れて、雷太が来る方向を見つめた。
−−−−−−−
しばらくして。
雷太がタクシーであたしを迎えにきた。
雷太は何も言わずにあたしをタクシーに乗せた。