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帰り支度をして校舎を出て渡り廊下を歩いていた時、
「山瀬さん!」
振り返ると、顔はわかるけど名前は知らない男の子が立っていた。
「…えっと…2組の…」
「あ、俺2組の近藤。
今ちょっといいかな…」
「…うん。大丈夫だけど…」
「話した事もないし、いきなりはアレ…なんだけどさ。
俺、山瀬さんの事が好きで…よかったら夏休み一緒に映画とか行っくれないかな…」
「あ…夏休み、毎日バイトなの…ごめんね。」
−−−−−−−
「ありゃぁ…千秋…また告られてるな…」
奏とリョウのクラスからは、千秋がいる渡り廊下がまる見え。
「奏が千秋と別れてから、千秋、告白のオンパレードだな。
最近髪切ってますます可愛くなったからなぁ…
うかうかしてらんないな…」
リョウは窓際の机に突っ伏す奏に聞こえるように言った。
「……」
「奏!見てみろよ!千秋、可愛いぞ?」
「……」
奏はチラッと下を見た。
後ろ姿でも、あれが千秋だとすぐにわかる。
「…髪…だいぶ切ったんだな…」
奏はボソッと言う。
「奏…お前千秋に未練タラタラだな」
「んぁ?そう…か?
ん…そうかもな…
ってか、お前いつから《千秋》って呼んでんだよ。」
「さっきから♪さっき千秋の夏休みを全部俺にくれって言いに行った時♪」
「…お前性格悪すぎ…普通俺の前でそんな事言えないはずだぞ?」
「だって俺千秋好きだから♪」
「…本気?」
「かなり本気♪俺、携帯メモリーから千秋以外の女の子消したし♪」
「すげぇな…それ…。ってか、千秋、今男いないんだ?」
「さぁ…。最近雰囲気変わったし、彼氏いたりして…。っつうか、気になるなら自分で聞け!」
「聞ける訳ねぇ〜じゃん。
はぁ…俺、かなりヤバイ。重症だわ…」
奏はバッグを持って教室を出た。