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バイト初日。
奏とあたしは朝一緒にいあたしん家を出た。
お母さんに紹介して貰ったカフェはあたしん家と奏ん家のちょうど中間地点。
大学が近くにふたつあって、雑貨屋さんとかカフェとかブティックが密集しているお洒落な街にある。
あたしは奏より先に地下鉄を降りる。
「んじゃ行ってきます!ごめんね、大荷物持たせちゃって…」
あたしは、夏休みの間奏とプチ同棲するから、一週間分の荷物を持って出ていた。
「多過ぎだろ…コレ。しかも恥ずかしい…」
奏は、あたしのハート柄のキャリーバッグをコロコロさせながら言う。
「似合ってるよ?んじゃ!あとでね!!」
「おう!頑張れよ〜」
あたしは、地下鉄を降りた。
−−−−−−−
教えられた住所を携帯のナビで見ながら進む。
そこは無機質だけどお洒落なカフェだった。
中に入り、プランターに水をあげてるスタッフに声をかけた。
「…すみません。今日からお世話になる山瀬です。」
「あぁ♪千秋ちゃんね?
久野桂子です。マリ…あ、あなたのお母さんとは、ヨガ教室で知り合ったのよ?」
ヨガ…?
あぁ、一日行って、筋肉痛になってすぐ辞めちゃったヤツね…
あたしは苦笑した。
「大学生のバイトの子が帰省しちゃって困ってたの…だから千秋ちゃん来てがくれて助かるわ♪」
「よろしくお願いします!」
あたしはペコッと頭を下げた。
「スタッフ紹介するから、来てくれる?」
桂子さんはあたしを厨房に連れて行った。
「今日から夏休みの間来てくれる、山瀬千秋ちゃんよ!」
厨房にいた二人があたしを見る。
「この人が私の旦那。キッチンにしかいないからね〜
…で、こっちが山下慎太郎。唯一のバイトの子。今大学生よ。」
「山瀬千秋です。よろしくお願いします!」
「よろしくね、千秋ちゃん♪」
久野さんはにっこり笑ってくれた。
「…よろしく。」
山下君はコーヒーカップにお湯を注ぎながらあたしを見ずにポツリと言った。