恋愛LEVEL


奏とリョウ先輩が店を出る時、あたしは奏に駆け寄った。


「奏!!」


奏は振り返る。


奏の腕をギュッ掴む。


「今日終わったらすぐ帰るからね!!」


奏は「おぅ♪」と笑って答えた。



−−−−−−−


あたしはスタッフルームで食事を終えて、コーヒーを飲む。


今日はランチタイム終わってから、業者さんに頼んで掃除をしてもらう事になっている。


テーブルやらイスやらを外に出し、会話が聞き取れないくらいの機械音がし始めた。


「…彼…ッコ…じゃ…」


山下君があたしに何か言ったけれど、聞き取り難い。


「え?」と首を傾げると、山下君があたしに近付いて耳元で言った。


「彼氏カッコイイじゃん」


あたしは、近すぎる顔を振り切るように横を向く。


「か、カッコイイって言ったじゃないですか!」


「俺程じゃないけどね?」


あたしは、聞こえないフリをした。



−−−−−−−


夕方。


あたしの歓迎会…をやってくれるという事で、桂子さんのお宅にお邪魔する。


桂子さんとマスターは、準備をするから…と、先に帰って行った。


桂子さんのお宅はお店からはちょっと距離があるらしく、
山下君が車で一緒に乗せてってくれる事になった。


あたしは、車を取りに行った山下君を店の前で待つ間、奏にMailする。


[今からマスター達のお宅に行ってくるね。帰りにまたMailするよ!]



[了解!早く帰ってこいよ?今リョウとゲーム中…]



あたしは携帯を閉じた。
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