恋愛LEVEL

あたしの前に一台の車が停まる。


「えぇぇ?!」


運転席には山下君がいる。


「コレ山下君の車?!」


「そーだけど?」



車に疎いあたしでも知ってる外車。


「こんな高級車乗ってるの?!」


「免許取ったばっかの時に親父が使ってないヤツをくれただけ。
てか、早く乗って。」



あたしは、後部席のドアを開けようとしたら、


「こっち」と、助手席を指さされる。


仕方なく、助手席に乗り込んだ。



車からは聴いた事のある洋楽が流れている。


運転席を見ると、山下君が前を見つめて、ハンドルを握る。

家族以外の人が運転する車に乗った事がなかったから、なんだか山下君がとても大人に感じた。



「なに?さっきから視線バシバシ感じるんだけど?」


「っえ?!別に…」


「どうせ山下君って大人だなぁとか思ってたんだろ?」


「……」


「お前の彼氏に比べりゃ大人だけどな…」


「…山下君は彼女いないの?」


「彼女?大学入ってからはいない。」


「高校の時はいたんだ?」


「いたよ。先生だったけど…」


「先生?!」


「そ。現代文の先生。」


「…凄いね。ドラマみたい…」


「卒業式に別れたけどな。」


「なんで?!」


「…なんとなく。」



あ…なんか話したくなさそう…



「でも、山下君はモテそうだし、大学生の女の人って大人だし…すぐ彼女できそ」


「色目使ってヤレる女はいっぱいいるけど、アイツら皆同じ顔に見えちゃうから。つまんない女ばっか。」


「…なるほど」


「俺、面倒くさいの嫌いだし」



それから、しばらくお互い黙ったままだった。




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