課長さんはイジワル
第176話 希望を抱いて
エレベーターに乗り込んで、なんとかギリギリナースステーションに滑り込む。
課長の指定時刻まで、後30秒のカウントダウン。
そして、ほぼぴったりにナースステーションの電話が鳴る。
ナースステーションにいる看護師さんが電話を取り、「いいえ、こちらに杉原と言う者はおりませんが」と言って、交換台からの電話を切ろうとしている。
「すみません!切らないで!」
事情を手短に説明し、課長からの電話を受け取る。
『これから出張であまり時間がないから、手短に言う。
結論から言うと、出産は可能だ。
国内としては、東京の聖セイント大学病院での実績がある。
30例と今のところ症例は少ないものの、癌の治療をしながらの出産に成功している。
その後、母子共に後遺症や、副作用などはないと報告されているようだが、まずは大垣夫妻の意思確認が必要だな』
「課長!ゆきねぇ、出産できるんですか?!」
『ああ、妊娠5ヶ月以降であれば、という条件付だったが』
そうか。
それで、さっき「5ヶ月」って課長は確認してたんだ。
「ありがとうございました、課長!私、早速2人に聞いてみます」
『頑張れそうか?』
「もちろん!」
希望の光が差してきたんだもの。
今日からは、絶対に課長に足を向けて寝ないと心の中でそっと誓う。
『これから、BNPパリバに出張する。3日後に日本に寄るからその時会おう』
「はい!」
電話を切ると、私はゆきねぇの病室を目指して早足で歩き出す。
胸に灯った微かな希望を抱いて。
課長の指定時刻まで、後30秒のカウントダウン。
そして、ほぼぴったりにナースステーションの電話が鳴る。
ナースステーションにいる看護師さんが電話を取り、「いいえ、こちらに杉原と言う者はおりませんが」と言って、交換台からの電話を切ろうとしている。
「すみません!切らないで!」
事情を手短に説明し、課長からの電話を受け取る。
『これから出張であまり時間がないから、手短に言う。
結論から言うと、出産は可能だ。
国内としては、東京の聖セイント大学病院での実績がある。
30例と今のところ症例は少ないものの、癌の治療をしながらの出産に成功している。
その後、母子共に後遺症や、副作用などはないと報告されているようだが、まずは大垣夫妻の意思確認が必要だな』
「課長!ゆきねぇ、出産できるんですか?!」
『ああ、妊娠5ヶ月以降であれば、という条件付だったが』
そうか。
それで、さっき「5ヶ月」って課長は確認してたんだ。
「ありがとうございました、課長!私、早速2人に聞いてみます」
『頑張れそうか?』
「もちろん!」
希望の光が差してきたんだもの。
今日からは、絶対に課長に足を向けて寝ないと心の中でそっと誓う。
『これから、BNPパリバに出張する。3日後に日本に寄るからその時会おう』
「はい!」
電話を切ると、私はゆきねぇの病室を目指して早足で歩き出す。
胸に灯った微かな希望を抱いて。