課長さんはイジワル
第226話 絶望のどん底
料理をしていると心が落ち着いてくる。

料理も大方出来た頃、玄関からガチャリと音がする。

帰ってきた!

「お帰りなさい!」

「来てたのか……。ただいま」

課長が笑顔でリビングに入ってくる。

「お疲れ様でした。日本はどうでしたか?」

「ああ。散々だったよ。また、行かなくてはならないかもしれん」

課長はネクタイを解きながら、部屋へと向かう。

それから、着替えて出てきた課長と食事をして、2人でソファでくつろぎながら、テレビを観る。

そして、軽いキスを交わす。

だけど、課長からのキスが段々濃厚になって、私を求めてくる。

私は課長と私の体の間に手を滑り込ませると、そっと課長から体を離す。

息を整え、祈るような気持ちで課長に質問を投げかける。


「あの……。例えばの話なんですが……。もし……もし、私との間に、そのぉ……赤ちゃ……んとか…………でき……たら……、課長はどうします……か?」


「できたのか?」

課長は驚いて体勢を立て直す。

「いえ。だから……例えば……」

産んで欲しいって言って欲しい。

だけど、「なんだ、仮定の話か……」と、露骨にホッとした課長の表情に、絶望のどん底まで突き落とされる。






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