課長さんはイジワル
第24話 新人はツライぞ!
急いで、後場開け3分前の席に滑り込む。
もう、課長はとっくに私の左隣の席に座ってる。
「遅いぞ!」
「す、すみません!」
いつにも増して、課長がこっわ~い……。
こんな状況でディーラーと交渉なんて出来るのか、私?!
課長の目の前のモニター電話がパッシングする。
課長がコツンと受話器で叩く。
注文が入ったみたいだ。
モニター越しに目の前に座っているディーラーに向かって、課長が声を掛ける。
「押尾!新発、30、引けの1毛5糸強(いちもうごしづよ)、買いたし。出せるか?」
「決めっ!」
「了解」
ほんの10秒で30億の商いが成立する。
はぁ~。かなわんぜ。
私は急いで伝票の打刻(だこく:時間を伝票に打ち込むこと)に走る。
そうしている間にも、また課長の取引先からの電話が入り、国債の先物買い100億が出来る。
これまた急いで打刻に走り、起票する。
はぁ、はぁ、はぁ。
パンプスでトレーディングルームを端から端まで走って、打刻して、電卓で計算して、起票……
しかも、新人だから、と課長はPCでの簡単入力を絶対許してくれない。
全てが手作業。
でも、今日は……今日は……私だって、課長の伝票書きしてる時間なんてない!!
ルーム内は、ディーラーの掛け声で活況を呈している。
「「「ヒットだ!(高く買われたこと)」」」
「「「テイクンだ!(安く売られたこと)」」」
ディーラー達の景気のいい叫び声に、余計、気持ちが焦って来る。
そこに、課長の携帯に電話が入る。
課長が少しだけルーム外に出ていく。
今がチャンスだ!
急いで、ディーラーとの交渉に走る。
でも、すぐに課長は席に戻って来たので、私も急いで席に戻る。
ああ~ん、もう!
もうちょっとだったのに!
課長の仏頂面に、急いで伝票の書き込みを始める。
だけど、その伝票を課長が取り上げる。
「伝票の書き込みは今日はいい。俺が書く。お前は例の端債の方を何とかしろ」
えっ?
今、何て言いました?
意外な言葉に、ポカ~ンと課長を見上げる。
もう、課長はとっくに私の左隣の席に座ってる。
「遅いぞ!」
「す、すみません!」
いつにも増して、課長がこっわ~い……。
こんな状況でディーラーと交渉なんて出来るのか、私?!
課長の目の前のモニター電話がパッシングする。
課長がコツンと受話器で叩く。
注文が入ったみたいだ。
モニター越しに目の前に座っているディーラーに向かって、課長が声を掛ける。
「押尾!新発、30、引けの1毛5糸強(いちもうごしづよ)、買いたし。出せるか?」
「決めっ!」
「了解」
ほんの10秒で30億の商いが成立する。
はぁ~。かなわんぜ。
私は急いで伝票の打刻(だこく:時間を伝票に打ち込むこと)に走る。
そうしている間にも、また課長の取引先からの電話が入り、国債の先物買い100億が出来る。
これまた急いで打刻に走り、起票する。
はぁ、はぁ、はぁ。
パンプスでトレーディングルームを端から端まで走って、打刻して、電卓で計算して、起票……
しかも、新人だから、と課長はPCでの簡単入力を絶対許してくれない。
全てが手作業。
でも、今日は……今日は……私だって、課長の伝票書きしてる時間なんてない!!
ルーム内は、ディーラーの掛け声で活況を呈している。
「「「ヒットだ!(高く買われたこと)」」」
「「「テイクンだ!(安く売られたこと)」」」
ディーラー達の景気のいい叫び声に、余計、気持ちが焦って来る。
そこに、課長の携帯に電話が入る。
課長が少しだけルーム外に出ていく。
今がチャンスだ!
急いで、ディーラーとの交渉に走る。
でも、すぐに課長は席に戻って来たので、私も急いで席に戻る。
ああ~ん、もう!
もうちょっとだったのに!
課長の仏頂面に、急いで伝票の書き込みを始める。
だけど、その伝票を課長が取り上げる。
「伝票の書き込みは今日はいい。俺が書く。お前は例の端債の方を何とかしろ」
えっ?
今、何て言いました?
意外な言葉に、ポカ~ンと課長を見上げる。