課長さんはイジワル
第28話 白子モンブラン
課長。
私、聞いちゃったんです。
仏の林様から。
課長が、陰で私をかばってくれていたこと。
本部長が私の400億の失敗でトレーダー不適格として、他部署に飛ばすってプレッシャーを掛けていたのに、それを、カチョってば、
「あいつはトレーダー向きです。絶対に、立派なトレーダーになりますから、今回のことは大目に見てやって下さい」
って頭を下げてくれたこと。
そして、林さんにも、
「何とか人事考課が始まるこの1週間の間に、あいつに初大商いの実績を持たせたい。出来る限り力になってやって欲しい」
って、やっぱり頭を下げてくれたこと。
さっきのさっきまで林さんに聞くまで知らなかったんです。
それなのに……
それなのに……
私は、ビールを一気に飲み干すと、吉田さんから、卵焼きを皿ごと奪い返し、ガーーーッと口に流し込む。
「あ、それ、僕のなのにぃ!!」
ホロホロと泣き崩れる吉田さんを横目に、押尾ディーラー作の4階建て梅酒ピラミッドタワー(ロック)を、奪って片っ端から喉に流し込む。
「おい!止めろ!!」
制止する課長の腕をブン!と振り解く。
「カチョォさんは、いじわるでひ……っく。わらひに……わら……ひに……」
知らなかったとはいえ、鬼に情けをかけてもらってたなんて……
ほんなごて、情けなかばい!
私は袖でぐいっと涙を吹き飛ばすと、シャンと背を伸ばし、白子ドンブリを両手で高々と持ち上げ立ち上げる。
「社員番号1009163号、杉原由紀!一気食い行きま~す!」
「いいぞぉ~!よっ!杉原!!」
「「「イッキ!イッキ!」」」
トレーダーとディーラー仲間から温かい声援が送られる。
「やめろ、杉原」
座っていた課長が慌てて立ち上がって止めようとするのを、ギロリと見下ろす。
「白子が恐くて、処女なんかやってられっか!!ってんですよ!!」
辺りがシィィィィィィィィィィンと静まり返る。
はっ!
私……
私……
今、何て言いました……っけ?
その3秒後。
意識がブツッと途切れた私の手から滑り落ちた白子ドンブリが、課長の頭を白子モンブランに変えていた(と、のち、先輩より聞く)。
私、聞いちゃったんです。
仏の林様から。
課長が、陰で私をかばってくれていたこと。
本部長が私の400億の失敗でトレーダー不適格として、他部署に飛ばすってプレッシャーを掛けていたのに、それを、カチョってば、
「あいつはトレーダー向きです。絶対に、立派なトレーダーになりますから、今回のことは大目に見てやって下さい」
って頭を下げてくれたこと。
そして、林さんにも、
「何とか人事考課が始まるこの1週間の間に、あいつに初大商いの実績を持たせたい。出来る限り力になってやって欲しい」
って、やっぱり頭を下げてくれたこと。
さっきのさっきまで林さんに聞くまで知らなかったんです。
それなのに……
それなのに……
私は、ビールを一気に飲み干すと、吉田さんから、卵焼きを皿ごと奪い返し、ガーーーッと口に流し込む。
「あ、それ、僕のなのにぃ!!」
ホロホロと泣き崩れる吉田さんを横目に、押尾ディーラー作の4階建て梅酒ピラミッドタワー(ロック)を、奪って片っ端から喉に流し込む。
「おい!止めろ!!」
制止する課長の腕をブン!と振り解く。
「カチョォさんは、いじわるでひ……っく。わらひに……わら……ひに……」
知らなかったとはいえ、鬼に情けをかけてもらってたなんて……
ほんなごて、情けなかばい!
私は袖でぐいっと涙を吹き飛ばすと、シャンと背を伸ばし、白子ドンブリを両手で高々と持ち上げ立ち上げる。
「社員番号1009163号、杉原由紀!一気食い行きま~す!」
「いいぞぉ~!よっ!杉原!!」
「「「イッキ!イッキ!」」」
トレーダーとディーラー仲間から温かい声援が送られる。
「やめろ、杉原」
座っていた課長が慌てて立ち上がって止めようとするのを、ギロリと見下ろす。
「白子が恐くて、処女なんかやってられっか!!ってんですよ!!」
辺りがシィィィィィィィィィィンと静まり返る。
はっ!
私……
私……
今、何て言いました……っけ?
その3秒後。
意識がブツッと途切れた私の手から滑り落ちた白子ドンブリが、課長の頭を白子モンブランに変えていた(と、のち、先輩より聞く)。