課長さんはイジワル
第39話 小春日和の山手線
ホテルを出て、課長と山手線に乗り込む頃には、ようやく鼻血も止まっていた。
小春日和の温かい日差しが反対側の車窓から差し込み、並んで座っている私達2人にも届く。
「温かいですね~、課長」
「そうだな」
「あの……いろいろ迷惑かけてすみませんでした」
やわらかい日差しの中、課長が少しだけ笑ったような気がした。
「別に迷惑だとは思ってない」
「課長……」
思わず上げた目線が課長と絡み合う。
課長……
それって、どう言う意味なんですか?
聞こうか、どうか迷っている私の前で課長があくびをする。
「眠い。少し寝るから、新宿に着いたら起こしてくれ」
「分かりました」
2駅を通過した頃、課長がコックリコックリと舟を漕ぎ始める。
もしかして、課長、昨夜、寝てないとか?
……まさかね。
やがて、課長の体が傾き、彼の髪が私の頬にかかる。
ふわふわでくすぐったいぞ。
安心しきったようにスーっと寝息を立てる課長の寝顔は意外と可愛いじゃないですか。
ホテル代を分割10回払いで返しますと言った私に、「お前がそんなこと気にしなくてもいい」と髪をぐしゃぐしゃにした課長の大きい手も意外に温かかった……気がする。
ユラユラ心地よく揺れる電車に乗りながら、私は課長の頭に自分の頭を預け、いつの間にか目を閉じた(らしい)。
ぐっすり寝入ってしまった私が目を覚ましたのは、それから何周も周回した後の、とっぷり暮れかかった夕暮れ時。
高田馬場駅に着いた時に起こされた課長の膝の上でだった。
小春日和の温かい日差しが反対側の車窓から差し込み、並んで座っている私達2人にも届く。
「温かいですね~、課長」
「そうだな」
「あの……いろいろ迷惑かけてすみませんでした」
やわらかい日差しの中、課長が少しだけ笑ったような気がした。
「別に迷惑だとは思ってない」
「課長……」
思わず上げた目線が課長と絡み合う。
課長……
それって、どう言う意味なんですか?
聞こうか、どうか迷っている私の前で課長があくびをする。
「眠い。少し寝るから、新宿に着いたら起こしてくれ」
「分かりました」
2駅を通過した頃、課長がコックリコックリと舟を漕ぎ始める。
もしかして、課長、昨夜、寝てないとか?
……まさかね。
やがて、課長の体が傾き、彼の髪が私の頬にかかる。
ふわふわでくすぐったいぞ。
安心しきったようにスーっと寝息を立てる課長の寝顔は意外と可愛いじゃないですか。
ホテル代を分割10回払いで返しますと言った私に、「お前がそんなこと気にしなくてもいい」と髪をぐしゃぐしゃにした課長の大きい手も意外に温かかった……気がする。
ユラユラ心地よく揺れる電車に乗りながら、私は課長の頭に自分の頭を預け、いつの間にか目を閉じた(らしい)。
ぐっすり寝入ってしまった私が目を覚ましたのは、それから何周も周回した後の、とっぷり暮れかかった夕暮れ時。
高田馬場駅に着いた時に起こされた課長の膝の上でだった。