課長さんはイジワル
第64話 失態に次ぐ、失態。
やばい。
これは、地味にやば過ぎる。
突然、トークが止んだ私の異変に気付き、さすがの課長も仕事をしていたらしい手を止めた模様。
「どうした?急に黙り込んで」
「……」
「悪かった。ここのところ仕事が立て込んでいて、ろくに電話も出来なくて。
その上、電話しながらの仕事は……」
「……課長」
「どうした?」
「あの……」
「なんだ?何かあったのか?」
「あの……私……」
ゴキュッと唾を飲む。
ああ。
私バカだ。
こんな大切なこと、忘れちゃってたなんて!
もう、課長に顔向けできない失態です。
私はちょこんと正座すると、ケータイを握り締めながらフカブカ~と頭を下げる。
「すみません、課長。私、NYには行けません」
「何があった?」
「課長、きっと、怒ります」
「怒らんから言え」
「いいえ。きっと怒ります」
「怒らないよ」
「いえ。絶対怒るに決まってます!」
「怒らないさ」
「信用できません。課長、すぐ怒りますから」
「怒らないから、さっさと言え!!」
ほら。もう怒ってるじゃないですか。
反論し掛けて、ポロリと涙が……。
「……パスポート、申請するの………忘れてました」
受話器の向こう側で、何かがゴトリと音を立てて落ちる音がした。
これは、地味にやば過ぎる。
突然、トークが止んだ私の異変に気付き、さすがの課長も仕事をしていたらしい手を止めた模様。
「どうした?急に黙り込んで」
「……」
「悪かった。ここのところ仕事が立て込んでいて、ろくに電話も出来なくて。
その上、電話しながらの仕事は……」
「……課長」
「どうした?」
「あの……」
「なんだ?何かあったのか?」
「あの……私……」
ゴキュッと唾を飲む。
ああ。
私バカだ。
こんな大切なこと、忘れちゃってたなんて!
もう、課長に顔向けできない失態です。
私はちょこんと正座すると、ケータイを握り締めながらフカブカ~と頭を下げる。
「すみません、課長。私、NYには行けません」
「何があった?」
「課長、きっと、怒ります」
「怒らんから言え」
「いいえ。きっと怒ります」
「怒らないよ」
「いえ。絶対怒るに決まってます!」
「怒らないさ」
「信用できません。課長、すぐ怒りますから」
「怒らないから、さっさと言え!!」
ほら。もう怒ってるじゃないですか。
反論し掛けて、ポロリと涙が……。
「……パスポート、申請するの………忘れてました」
受話器の向こう側で、何かがゴトリと音を立てて落ちる音がした。