課長さんはイジワル
第7話 超イヤミなあいつは鬼課長
それから、数日間、課長はメチャ機嫌が悪くて大変だった。

ホント、気難しい困ったさんだよ。

ある朝、私が出勤のエレベーターに乗っていると、2階にある会議専用階から奥田課長がアメリカ人の重役と一緒に乗り込んで来る。

さすが、アメリカの大学に行って、MBA(Master of Business Administrationの略:経営学修士号)を取ったって言うだけあって、英語ペラッペラだ。


一緒に乗っている私の脳内は、「オ~ノ~!」のフラダンス。

ふっ。

何、喋ってるか、さっぱり分かんないや。


13階のトレーディングルームに降りるなり、課長から書類の束で頭をポンと叩かれる。


「これをデータ入力しとけ。アプリはワード、10分以内。アメンド、アサップ」

「はっ、はい!」

慌てて、課長の言うことをペンでメモ帳に書き入れる。


さすが鬼!

言っている日本語がさっぱり分かんないや。

大学の第二外国語で、鬼語を取っておけば良かった。


とりあえず、書き留めておいて、先輩トレーダーの佐久間さんに翻訳してもらおう。


書き留めた後、こそこそ逃げる私の襟首を「おい!」と課長が掴む。


「ほ、他に何かあんの?……で、ございますでしょうか?課長」

「今週末の社内ソフトボール大会の人数を確認しておけ」

「……ソフトボール?」


なんじゃ、そりゃ?

聞き返す私の頭を再度課長が丸めた書類でパッカーンと叩く。


「社内通知はトレーディングルームの第一掲示板!即確認しろ!男性社員は車出し、女性社員は弁当調達及び作成だ。これも人数を確認しろ」


これも急いで、(ムカつきながら)メモメモメモ……。


とにかく、確認しなきゃ。


私が掲示板に行き掛けた時、課長が再び、「あっ!」と声を上げ振りかえる。


「杉原!お前は弁当を作らなくていいぞ」

「何でですか?課長」

「いや、むしろ作るな。車の次は、料理で殺されちゃ、たまらんからな」


課長はにやっと笑うと念を押す。


「いいか、作るなよ。これは、絶対命令だ」


はははっと課長は笑うと、スタスタとトレーディングルームを後にする。


こ、コノヤロォ~!


あんたなんか……

あんたなんか……


毒キノコでぶっ殺してやる!!!





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